オリンピックがお金を稼いで何が悪いのだ?(いや、悪くない)

ども。

 

オリンピックが商業化していることを悪し風潮だと断じる論調がありますが、たびぞーは以前にも増して注目を浴びているオリンピックがどんどんその価値を高めているように感じています。

そもそもオリンピックとお金が絡むことにどのような問題があるのでしょうか。

 

「カネとの関係を安易に見せてしまう」ことが「スポーツへの夢」を「しぼませて」しまうという問題です。 

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 CMへの出演が選手のカリスマ性を毀損させ、ひいてはその競技自体の「夢」をしぼませる、という論考ですが、それとオリンピックが商業化することの因果関係というよりは、オリンピックで活躍した選手のその後の商品性が中心の話です。

そのこととオリンピック自体の商業化は直接的に関係していません。

結局は、人間の身体の限界に挑戦する「純粋」で「尊い」スポーツと、「邪な」お金儲けが密接に関わることへの反射的な嫌悪感が否定派の体勢でしょう。

 

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それでは、大きくお金を儲けられる、とは一体どのような状況なのでしょうか。

これを考える上で最も良い例は米メジャーリーガーの給料です。2018年のメジャー最高年収はドジャースの投手、クレイトンカーショー選手の39.7億円と言われています。まさにアメリカンドリームを地でいく給料は世界最高のピッチャーには誰もが納得というところでしょうか。

かたや、体操で世界最高の選手である内村航平選手の年収は約2,000万円程度?と言われています。もちろん広告収入等はあるかと思いますが、純粋にスポーツ選手としての対価は他の多くのメジャーリーガーたちと比べても大きく劣ると言えるでしょう。

陸上10種競技元日本チャンピオンの百獣の王武井壮さんは、「自分の子供にはクリケットをやらせたい。」と言っています。至極納得の行く話で、インドではクリケットは巨大なファンを抱える一大スポーツだからです。当然選手の年俸は億を軽く超えてきます。

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このようにトップアスリートの年収の違いを生み出している根本的な原因は、その競技の人気の違い。

言い換えれば、「何人の人を感動させることができるか」に尽きるのです。

メジャーリーグは全米で日夜テレビ放送が行われて、一人の選手のビッグプレーに大量の視聴者が歓喜します。この大きな熱狂はグッズ販売やケーブルテレビ、スポーツブランドからの契約料など多額のお金を呼び込みます。一方でテレビ放送のないマイナースポーツはいかに世界屈指のビッグプレーが飛び出そうとも極端な話をすれば特に誰も興味がないのです。

武井壮さんの言葉を借りれば、「選手のクオリティ(競技レベル)」と「ニーズ」は必ずしも一致せず、ニーズがなければ「無価値」なのです。

 

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オリンピックに話を戻しましょう。オリンピックは普段スポーツに関心のない人たちもテレビに釘付けになる大イベントです。

特に、ルールも知らないような競技でもついつい応援してしまうということが起こるのもオリンピックの特徴です。女子カーリングが有名になったり、フェンシングの太田雄貴選手のメダル獲得に歓喜したかたも多くいたことでしょう。

その中に、普段からカーリングの会場で応援をしたり、フェンシングの動画を見あさっている人たちはどれほどいるのでしょうか。

そんな超一流のトップアスリートとはいえ、通常の大会では誰からも見向きもされずに頂点を目指すアスリートたちは、オリンピックという「祭り」の中に組み込まれることで初めて世界中にテレビ放映されて大きく「価値」を高めることができるのです。

 

そこで大活躍をしたり、「初めて」広く見られることで競技の面白さが伝われば、カーリングやフェンシング、バドミントンのニュースが平日の夕方にスポーツコーナーで取り上げられるようにもなるのです。

 

お金を稼ぐことが邪だ、という主張は利益を追求しすぎて不正を働くような場面と絡められて強化される論調ですが、本来お金は「物事の価値」や「人々を感動される」度合いの尺度としてあるのが本質です。

だから、世界中のトップアスリートたちがたくさんの人たちを感動させられる大舞台は大金が動く大会になるのも必然です。

そこのところをはき違えると、空っぽの会場で黙々と選手だけが競い合う、誰の興味も湧かせられない世界大会になってしまうのです。

 

そんなスポーツって夢があるのでしょうか?

 

チャーお!