顔も知らない不特定多数のお客さんを裏切らないことの大切さ。(商品の値決めの話)

ども。

 

先日近所のスーパーマーケットに行った時の話ですが冷凍食品が突如半額になっていました。

道理で今日は買い物に来ている人たちが多いわけだと独り合点がいったわけですがそこでフと疑問に感じたのは「昨日このこと(安売り)を知らないで冷凍食品を大量買いした人が今のこの状況を知ったらどう思うのかなぁ」ということです。

 

予想できるお客さんの反応は大まかに3パターンで

1即日買う必要があったものだから、ちょっと高くても仕方ない、という場合

2知っていたら今日買いに来たよ、という場合

3そもそも価格なんか気にしないからどうも思わない場合

ここで取り上げたいのは昨日の購入に不満を感じている2のお客さんです。

1と3は商品の価値と価格のバランスは、価値>価格で購買の理由自体に歪みはありません。1は、出張がギリギリに決まった時などにどうしても購入しなければならない「割高」な飛行機代などが良い例です。いわゆる「イールド調整」という価格変動ですね。

 

問題は、昨日時点では価値>価格と考えて納得して購入していった商品の価格が更に下がったために価値と価格の差分=顧客利益が目減りしていることに気がついてしまった状況です。

こういうときにお客さんはその責任を自分と相手の両方に転嫁することができる筈なのです。

まず、自分に落ち度を見出すお客さんは、チラシやネットの情報などの安売り情報に網を張っておらず今日の広告に気がつかなったことを反省して、次からは積極的に情報を取りに行くことでしょう。

逆に、お店側に責任を感じるお客さんはもっとしっかりと告知しておくべきだ、むしろこんなに安くなるなら昨日の値付けは高すぎるということだ、ぼったくりだ。と感じてお店に不信感を持つお客さんもいるかもしれません。

 

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お店側の言い分を考えると、価格を引き下げるパターンとしては

プロモーション活動

売上最大化の活動

の主に2つの目的があると思います。

上のプロモーション活動は、驚きの割引価格によって新規顧客にお店の利用してもらうきっかけを作る、もしくは複数の選択肢を持っているお客さんを自分のお店の存在感を改めて知らせて今後の利用を促す中長期的な目的です。

下の売上最大化の活動は、いわゆる在庫の処分や短期の売上目標に対してのカンフル剤のような作用を期待しています。

 

ここでポイントは、どちらの目的の値引きであるにせよタイムセールや在庫処分セールなどと銘打ち、一見しただけでは先に触れたようなお店に不信感を持たせてしまう可能性を否定できない点です。

 

そのような状況で、値引きに対してお客さんからポジティブな反応を引き出せるかどうかの分かれ目は、「お店とお客さんのコミュニケーション」に尽きます。

言い換えれば、その値付けの納得できる理由をお客さんに伝えられているか、ということが重要です。

 

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具体例を挙げると、これを上手に行なっているのはイオングループの行なっている「毎月5のつく日はお客さまわくわくデー」というセールです。

読んで字のごとく、定期的に、お客さんをわくわく喜ばせるために、行なっているセールです。

(もちろん売上も爆上げしたいけど)一切、ビジネスライクな感じを出さずに、お客さんに値引きの意図を表明しています。しかも、5という記憶しやすい日付設定で、一度セールを知らずに逃してしまった場合もとても「リベンジしやすい」点も好感が持てます。これを「7と、13と、16と29のつく日はポイント6倍〜♫」としてはお客さんには浸透せず結果的にお客さんに値付けの妥当性を伝えることはできません。

狙っているかは知りませんが、成功企業にはまだまだ良い例が眠っています。

 

一方で、悪い例としては僕の大好きなアメ横の一部のお店があります。

ここでは万年閉店セールを続けている宝飾品店や、袋に大量のピーナッツを放り込みながら「これでも千円、これを入れても千円」と安売りを強調してくるお店があります。このようなお店を目にすると、確かに安いのかもしれないけど、その商品の本当の価値はいくらなの?ということがさっぱり分からなくなるため、そのお店の価格全体を不信感の目で見てしまいます。

 

逆に、急成長を遂げた高級アウトドアブランドのスノーピークは殆ど値引きをしないのが印象的です。もちろん大人気ブランドですから大きな値引きをして無理をして売上を促進する必要もないのだと思いますが、「あくまで商品には値段に見合う価値がある」ということを様々なメディアや書籍などを通してしっかりと市場に伝えられているため、類似品の2倍近くする価格でもぼったくられた感じもしません。むしろこのブランドは、安売りをするほど不信感を与えてしまう可能性すらあると思われます。

 

まとめると、中長期的な顧客獲得のためであっても、短期的な売上最大化のカンフル剤的な値引であっても「お客さんとのコミュニケーション」を実践できている限りにおいては市場からの信用を毀損せずに実行可能である、ということです。

売上が目標に達しなさそうな時に突如ゲリラセールで全商品を半額にした場合でも、このお店は面白いセールを不定期でやりお客さんを楽しませてくれる、というような認識を持ってもらえるように強いメッセージを発していけば結果オーライになります。

そのためにはチラシや値札に書くだけでは不十分で、その場にいる従業員が口にする言葉や、衣装、BGMなども全て含めてお店総出でお客さんとコミュニケーションしていくことが大切です。

 

ほいでは!